環境省二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

環境省二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

データ収集日時: 2025年6月13日

概要

環境省二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、民間企業・地方公共団体等による先進的で効果的なCO2排出削減対策を支援する総合的な補助金制度です。脱炭素社会の実現に向けた技術実証・設備導入・普及促進等を通じて、日本の温室効果ガス削減目標達成と持続可能な社会の構築を目指します。

対象者

基本要件

以下のいずれかに該当する者：

1. 民間企業
2. 営利を目的とする法人・個人事業主

3. 中小企業・大企業問わず

4. 地方公共団体

5. 都道府県・市町村・特別区

6. 一部事務組合・地方公共団体の組合

7. 独立行政法人

8. 国立研究開発法人

9. その他独立行政法人

10. 一般社団法人・一般財団法人

11. 非営利型法人

12. 公益性の高い活動を行う法人

13. 学校法人・社会福祉法人

14. 教育機関・福祉施設等

15. 協同組合

16. 事業協同組合・農業協同組合等

共通要件

• 国内での事業実施
• 補助対象事業の確実な実施能力
• 暴力団等反社会的勢力と関係を有しないこと
• 過去に国の補助金等で重大な違反がないこと

主要事業メニュー

1. 先進技術実証・普及促進事業

革新的技術実証事業

• 対象技術: 未来社会を見据えた革新的脱炭素技術
• 補助上限額: 10億円
• 補助率: 中小企業2/3、大企業1/2
• 実施期間: 最大5年間

社会実装加速化事業

• 対象: 技術開発完了後の社会実装・普及促進
• 補助上限額: 5億円
• 補助率: 中小企業2/3、大企業1/2
• 実施期間: 最大3年間

2. 脱炭素イノベーション・設備導入支援

脱炭素化設備導入支援事業

• 対象設備: 省エネ・再エネ・蓄エネ設備
• 補助上限額: 中小企業1億円、大企業5,000万円
• 補助率: 中小企業1/2、大企業1/3
• CO2削減: 年1%以上の削減効果

グリーンファイナンス推進事業

• 対象: ESG投資・グリーンボンド関連事業
• 補助上限額: 3億円
• 補助率: 1/2以内
• 要件: グリーンファイナンス活用

3. 地域脱炭素実現支援

地域脱炭素移行・再エネ推進事業

• 対象地域: 脱炭素先行地域・重点対策加速化地域
• 補助上限額: 50億円（複数年度）
• 補助率: 地方公共団体3/4、民間事業者1/2
• 規模: 地域全体の脱炭素化

自立・分散型エネルギー導入支援

• 対象: マイクログリッド・VPP構築
• 補助上限額: 20億円
• 補助率: 地方公共団体3/4、民間事業者1/2
• 効果: 地域エネルギー自給率向上

4. 国際協力・途上国支援

脱炭素技術国際展開支援

• 対象: 途上国での脱炭素技術普及
• 補助上限額: 5億円
• 補助率: 1/2以内
• 効果: 国際的なCO2削減貢献

二国間クレジット制度（JCM）推進

• 対象: JCMプロジェクト
• 補助上限額: 10億円
• 補助率: 1/2以内
• 効果: 国際的なカーボンクレジット創出

重点対象分野

1. エネルギー分野

再生可能エネルギー

• 太陽光発電: 高効率・次世代太陽電池・営農型
• 風力発電: 洋上風力・小型風力・浮体式
• 水力発電: 小水力・ポンプ式貯水・海流発電
• 地熱発電: バイナリー・EGS・温泉発電
• バイオマス: 木質・食品残渣・汚泥・藻類
• 燃料電池: 固体酸化物・固体高分子・アルカリ

省エネルギー

• 高効率機器: ヒートポンプ・コージェネ・LED
• 断熱・遮熱: 建物断熱・窓ガラス・遮熱材
• 制御システム: BEMS・FEMS・HEMS・AI制御
• 廃熱回収: 工場排熱・地中熱・下水熱

蓄エネルギー

• 蓄電池: リチウムイオン・全固体・フロー電池
• 蓄熱: 潜熱蓄熱・顕熱蓄熱・化学蓄熱
• 水素: 製造・貯蔵・輸送・利用技術
• 圧縮空気: CAES・液体空気エネルギー貯蔵

2. 産業・製造業分野

製造プロセス革新

• 電化: 加熱・乾燥・化学反応の電化
• 水素利用: 製鉄・化学・セメント・アンモニア
• バイオ化学: バイオプラスチック・バイオ燃料
• リサイクル: ケミカルリサイクル・都市鉱山

素材・材料革新

• 軽量化材料: 炭素繊維・セルロースナノファイバー
• 高機能材料: 超電導材料・触媒・断熱材
• 代替材料: バイオベース材料・リサイクル材
• 新素材: グラフェン・CNT・ペロブスカイト

3. 運輸・モビリティ分野

電動化

• 電気自動車: BEV・PHEV・燃料電池車
• 充電インフラ: 急速充電・ワイヤレス充電
• 電動船舶: 電気推進・燃料電池船
• 電動航空機: eVTOL・電動航空機

代替燃料

• 水素: 燃料電池・水素エンジン・水素タービン
• バイオ燃料: エタノール・BDF・SAF・バイオガス
• 合成燃料: e-fuel・アンモニア・メタン
• 電動化: 電気・燃料電池・ハイブリッド

4. 建築・都市分野

ゼロエネルギー建築

• ZEB: ネット・ゼロ・エネルギー・ビル
• ZEH: ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス
• LCCM: ライフサイクルカーボンマイナス住宅
• パッシブ設計: 自然採光・通風・断熱

スマートシティ

• エネルギーマネジメント: CEMS・スマートグリッド
• 交通システム: MaaS・自動運転・EV活用
• 廃棄物処理: 廃棄物発電・リサイクル促進
• 緑化: 屋上緑化・壁面緑化・都市林

5. 農林水産業分野

農業分野

• スマート農業: IoT・AI・ロボット活用
• 施設園芸: 環境制御・LED・ヒートポンプ
• 土壌管理: 炭素貯留・バイオ炭・堆肥化
• 営農型太陽光: ソーラーシェアリング

林業分野

• 森林経営: 森林吸収源対策・造林・間伐
• 木材利用: CLT・木質バイオマス・木材輸出
• 林業機械: 高性能林業機械・ドローン活用
• 森林監視: 衛星・センサー・AI解析

水産業分野

• 養殖業: 陸上養殖・閉鎖循環・自動化
• 漁船: 省エネエンジン・電動化・燃料電池
• 水産加工: 省エネ設備・廃熱利用・冷凍技術
• 藻場再生: ブルーカーボン・CO2吸収

対象経費

1. 設備費

• 実証設備・システム構築費
• 製造設備・生産ライン
• 測定・分析機器
• 設置・据付・試運転費

2. 工事費

• 建設・土木工事費
• 電気・機械設備工事
• 配管・配線工事
• 既存設備撤去・廃棄費

3. 技術開発費

• 研究開発費・実験費
• 設計・エンジニアリング費
• 特許・ライセンス取得
• 技術指導・コンサルティング

4. 実証・調査費

• 実証実験・性能試験
• 環境影響調査・アセスメント
• 市場調査・事業性評価
• 効果測定・モニタリング

5. 人件費

• 研究員・技術者人件費
• 専門人材確保・育成
• 外部専門家招聘
• ※管理部門は対象外

6. その他経費

• 原材料・消耗品費
• 外注・委託費
• 旅費・交通費
• 報告書作成・普及啓発費

対象外経費

• 土地購入・借地費用
• 建物建設費（実証用を除く）
• 汎用性の高い事務機器
• 維持管理・運営費
• 消費税・地方消費税

申請手続き

公募期間

• 春期公募: 3月～4月
• 夏期公募: 6月～7月
• 秋期公募: 9月～10月
• 随時公募: 一部事業で実施

申請の流れ

1. 公募説明会
2. 事業内容・申請方法の説明

3. 質疑応答・個別相談

4. 申請準備

5. 事業計画書の作成
6. 技術・効果の検証

7. 必要書類の準備

8. 申請書提出

9. 環境省または執行団体宛

10. 電子申請システム利用

11. 審査

12. 書類審査（1次）
13. ヒアリング審査（2次）

14. 外部有識者による評価

15. 採択・交付決定

16. 採択結果通知
17. 交付決定通知

18. 補助金交付契約

19. 事業実施

20. 計画に基づく事業実行
21. 四半期報告・中間報告

22. 必要に応じた計画変更

23. 完了検査

24. 実績報告書提出
25. 現地調査・効果確認

26. 成果発表・普及活動

27. 補助金交付

28. 検査完了後の交付

必要書類

• 補助金交付申請書
• 事業計画書・実施計画
• 技術資料・設計図書
• 費用積算・見積書
• 事業者概要・財務資料
• その他指定書類

審査基準

政策的意義（25点）

• 2050年カーボンニュートラルへの貢献
• 国の政策・戦略との整合性
• 緊急性・重要性・先進性
• 社会実装・普及の意義

技術的優位性（25点）

• 技術の革新性・独創性
• 技術的実現可能性・確実性
• 既存技術との差別化・優位性
• 知的財産・標準化への貢献

事業実施能力（25点）

• 実施体制の適切性・充実度
• 技術力・経験・実績
• 資金調達・財務の健全性
• リスク管理・品質管理

費用対効果（25点）

• CO2削減効果・削減コスト
• 事業性・持続性・収益性
• 波及効果・普及可能性
• 国際競争力・輸出可能性

活用事例

事例1：洋上風力発電実証プロジェクト

事業者: 大手電力会社コンソーシアム 事業規模: 100MW級浮体式洋上風力 補助額: 50億円 期間: 5年間 成果: 商用化技術確立、コスト30%削減、海外展開

事例2：水素製鉄技術開発

事業者: 大手鉄鋼メーカー 技術: 高炉での水素還元技術 補助額: 30億円 期間: 3年間 成果: CO2排出80%削減、実用化目処確立

事例3：都市部マイクログリッド構築

事業者: 地方自治体・民間企業連携 規模: 商業地区全体（5,000世帯相当） 補助額: 20億円 効果: 地域エネルギー自給率70%、災害時BCP確保

事例4：バイオジェット燃料製造

事業者: 化学メーカー・航空会社連携 原料: 廃食用油・農業残渣 補助額: 15億円 成果: 年産10,000kL体制確立、CO2削減70%

事例5：ZEB実証プロジェクト

事業者: 建設会社・設備メーカー 対象: 大型オフィスビル 補助額: 5億円 技術: 高効率設備・AI制御・蓄電池 成果: エネルギー消費正味ゼロ達成

2050年カーボンニュートラル戦略

脱炭素化ロードマップ

• 2030年: 温室効果ガス46%削減（2013年度比）
• 2040年: 80%削減目標
• 2050年: カーボンニュートラル実現

重点取組分野

• エネルギー供給: 再エネ主力電源化
• 産業: 製造プロセス革新・燃料転換
• 運輸: 電動化・水素化・バイオ燃料
• 業務・家庭: ZEB・ZEH・省エネ機器
• 吸収源: 森林・農地・CCUS

国際連携

• パリ協定: NDC目標達成・長期戦略
• IEA: 国際エネルギー協力
• IRENA: 再エネ国際協力
• Mission Innovation: 革新技術開発

事業化・社会実装支援

技術移転促進

• 実証から商用化: スケールアップ支援
• 知財活用: 特許ライセンス・技術移転
• 標準化: JIS・ISO・国際標準策定
• 人材育成: 技術者・研究者育成

市場創出支援

• 制度整備: 規制緩和・基準策定
• 経済的インセンティブ: 税制・金融支援
• 公共調達: 国・自治体による率先導入
• 国際展開: 途上国支援・輸出促進

普及啓発

• 成果発表: シンポジウム・展示会
• 情報発信: ウェブ・パンフレット・動画
• 人材交流: 研究者・技術者ネットワーク
• 教育: 学校・社会人向け環境教育

注意事項

1. 事業の確実な実施
2. 計画に基づく確実な事業実行
3. 技術的課題への適切な対応

4. 成果の適切な測定・評価

5. 成果の活用・普及

6. 技術の社会実装・事業化推進
7. 成果の公表・情報発信

8. 他事業者・地域への波及効果

9. 継続的な取組

10. 補助事業終了後の継続・発展
11. 技術の継続的改良・高度化

12. 国際競争力の維持・強化

13. 適正な事業管理

14. 補助金の適正使用・管理
15. 必要書類の適切な保管
16. 調査・検査への協力

よくある質問

Q1: 海外での実証事業も対象になるか？ A1: 国際協力事業の一部では海外実証も対象となりますが、基本的には国内事業が対象です。

Q2: 既存設備の更新・改修も対象になるか？ A2: 単純な設備更新は対象外ですが、大幅な性能向上や技術革新を伴う場合は対象となります。

Q3: 複数年度にわたる事業の予算確保は？ A3: 採択時に複数年度の予算枠を確保しますが、各年度の予算成立が前提となります。

Q4: 事業終了後の知的財産権の扱いは？ A4: 事業者に帰属しますが、国内での優先実施や成果の公表義務があります。

問い合わせ先

環境省地球環境局

地球温暖化対策課 - 電話: 03-3581-3351（代表） - FAX: 03-3580-1382 - 受付時間: 9:30～18:15（土日祝日を除く） - 住所: 〒100-8975 千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館

環境省大臣官房

環境経済課 - 電話: 03-5521-8240 - FAX: 03-3580-9568 - 受付時間: 9:30～18:15（土日祝日を除く）

執行団体（一般社団法人温室効果ガス審査協会）

補助事業部 - 電話: 03-4513-2060 - FAX: 03-4513-2061 - 受付時間: 9:00～17:00（土日祝日を除く） - 住所: 〒105-0001 港区虎ノ門4-1-28 虎ノ門タワーズオフィス

地方環境事務所

• 各地方環境事務所
• 地域の脱炭素化支援窓口

関連リンク

• 環境省
• 2050年カーボンニュートラル
• 脱炭素ポータル
• 温室効果ガス審査協会
• 地球環境戦略研究機関